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遺言書をせっかく残しても、実は、その遺言書が紛争の原因になるのです。
なぜか? なぜだと思いますか?
それは、遺言書を作成したに、判断能力が問題となるのです。母は、あるいは父は、「認知症だった」「判断能力が無い状態で作った遺言書は、無効だ」「いや、足腰は弱っていたけれど、ボケてはいなかった。この遺言書は有効だ」という紛争が発生するのです。
そこで、私共は、遺言作成時に判断能力評価を行い、その様子を動画に収め、記録として残すサービスを開発致しました。動画の時間はおよそ60分~100分です。
判断能力評価を行うのは精神科医の北村俊則です。北村俊則の経歴・業績につきましては、こちらをご覧ください。
精神医学の中で、判断能力の測定について、オリジナルの評価尺度を作成し、現在、国際専門誌にも、北村の評価尺度を使った研究の論文が発表されております。
遺言書は公正証書遺言を作成します。判断能力評価証と評価時に録画した動画も保管していただきます。こうしておきますと、万が一、相続が発生した時に、紛争の原因を作ることなく、相続人を納得させることができると考えております。また、被相続人の方も、ご自分のお考え、何故、このような相続配分になったかを遺すことができます。
相続時に、「判断能力がない状態で制作した」、あるいは、「脅かされて作成した」などとして無効を主張され、お子様方の間で紛争が発生することがないように準備を進めて頂くことにより、事業主の皆様方が、将来のことを案じることなく、ご自分の事業が順当に継承されるという安心感をお持ちになった上で、お仕事にまい進していただけます。
次に相続で揉める事例には、いろいろありますが、いくつか実例をもとにアレンジした事例をご紹介しましょう。
Aさんは、ご自分で立ち上げた運送会社を経営しています。家族は、妻B子、長男C男、その妹のD代がいます。C男はコンピュータのエンジニアとして、アメリカの大学に留学し、そのまま現地で就職しています。D代はずっと両親の仕事を手伝い、大学では商学部に進み、卒業後は大手運送会社に勤務経験を積んだ後父の会社に入社しました。新しいサービスを次々考え、業績をのばしてきました。Aさんは、従業員からの信頼も厚く、何より、会社の事業内容を理解している長女D代に継がせたいと思い、遺言書を作成しました。ところが、その数年後、「アメリカでの生活に疲れた」といって、長男が帰国し、父親の会社に入社しました。旧態依然とした経営形態に次々とメスを入れ、会社は混乱してしまいます。そんな中、Aさんが突然亡くなりました。遺された遺言書を開封すると、会社の資産と株式の大半を長女のD代に相続させるという内容でした。その上、事業の継承者としてD代を指名していたのです。激怒したのはC男です。「遺言書を制作した時点ですでに父は、認知症であった。従業員や妹が支えていたので、なんとか社長に椅子に座っていたに過ぎない」と言って、遺言書の無効を主張したのです。
E子さんは20年前に離婚し、両親から相続した家で、暮らしています。彼女には長男F介がいます。F介は、故郷を出て、会社員をしています。郷里に戻るのは、お正月の時ぐらいでした。E子さんは、自宅の近くのビルの1階の部屋を借り、ランチ限定の食堂を営んでいます。この食堂運営には、開業当時より一緒に仕事をしてくれている10歳若い女性G子が携わってくれています。G子は、若い頃に勤務していた事務所の後輩です。自分よりも年が若いにもかかわらず、しっかり者です。食堂を開業してから、ずっと二人三脚でやってきました。E子さんは、30代で両親を次々と亡くし、天涯孤独の身でした。自分にもしものことがあったら、G子に食堂を続けて欲しいし、財産を引き受けて欲しいと遺言書を作成しました。遺言書を作成して数年経った時に、E子さんは、突然倒れ、この世を去りました。急遽戻って来た長男の指示通りに葬儀を済ませ、遺言が執行されたところ、長男が激怒し、「赤の他人に財産をあげるなんて、よっぽど脅かされたか、認知機能が低下していたからに違いない。この女に脅かされてしぶしぶ書いたに違いない。こんな遺言書は無効だ」と主張しました。
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